祖父の「マジで」
三連休だったので、久々に実家に帰省した。
僕が幼い頃から立て付けの悪かった玄関の戸が綺麗に修復されており、
以前と同じように力を込めて開けようとすると物凄い勢いで戸が滑って行って少し焦った。
台所に祖父がいたので、帰ったよと声をかけると、開口一番。
「結婚しなさい!時は来たぞ!」
唐突にそう言われた、祖父の目には異様な力がみなぎっていた。
その眼光は僕の目を見てはおらず、僕の体の真ん中辺りを凝視していた。
その辺りに、何か僕の、コアの様な、魂の様な物があり、祖父はそれに話しかけていたのだろうか?
「いきなり何〜?」
と笑って濁していると、
「いや、マジで」
と祖父が言った。
祖父がマジでという言葉を知っているとも思わなかったし、知っていてもそんな言葉使わないと思っていたので、
マジで結婚しなきゃなんないのかなと思ってしまった。