コーヒーの中の混沌
お腹が空いたので、自動販売機でカロリーメイトのチョコ味と、健康ミネラル麦茶を買った。
僕はこのお茶を鶴瓶茶と呼んでいる。
単純に鶴瓶さんがCMに出演しているからと、ただそれだけの理由だ。
究極に、誰にも会いたくない日がある。
そんな日に限って、買い物、支払い。
外に出なければならない理由が僕を外に引っ張り出そうとする。
その誘いを断り続ければ、電気が止まる。
ガスが止まる。
それでは生活が出来なくなる。
好きなゲームが出来なくなる。
パソコンで、水曜どうでしょうが見れなくなる。
それは困る。
コンビニのレジで尋ねられる
「温めますか?」
「お願いします」
たまに「いいえ」
これだけのやり取りでも疲弊してしまう。
自然と、そんなやり取りをしないで済むような物ばかりを選ぶようになり、自分が本当に欲しい物を買えない事が多々ある。
よく行く食堂で、食後に頼んでいないアイスコーヒーが運ばれて来た。
「サービスです」
ありがとうございます。と言いつつも、僕は困惑した。
これは、今日だけのサービスなのだろうか?
それとも、これからは毎回食後にコーヒーを出して頂けるのだろうか?
そうすると、普段の様に食べ終えた後直ぐ立ち上がって支払いに行ってしまうと、もしコーヒーの準備をしてくれていた場合、その好意を無下にしてしまう事になる。
反対に、それを毎回出してくれるものと考え、食後テーブルでずっと待っていると、店側が前回限りのサービスという考えだった場合、僕はがめつい人間に思われてしまうかもしれない。
僕の脳内は、そんな考えが交錯していた。
店員に聞けばよいのだが、僕にそんな気力は無い。
目の前のグラスに、シロップとミルクを注ぐ。
コーヒーの黒とミルクの白が入り混じって、ウルトラQのオープニングの様な、混沌とした模様になった。
僕の脳内が、具現化した様に見えた。
僕は急いでそのコーヒーを飲み干した。
店から出た僕の脳内は、未だ混沌。
胃袋の中も、混沌。
その日以来、僕はそのお店に行っていない。
僕は何故こうなんだろう?
親しくされると、途端にその場に居づらくなってしまう事がある(特に飲食店)
自動販売機は何も言わないし、気も使ってくれない。
120円入れれば、120円のジュースしか吐き出してくれない。
今日はそれが心地良い日です。